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小説 学園ライフ!1−6

連投。
続きを読むからどうぞ。
あー、今回ちょっと長くなっちゃいました…。
計画的に書かないと駄目ですよねえ…。

1−6 跡取りVSギガンテス。

荻木市中心街に位置する県下最大レベルのアーケード街は合計すると全長1000mほどで、市の中心に位置する荻木市駅に近いという立地もあってか、平日の昼からでも結構な賑わいを見せている。
その人混みの組成のなかでも、若者――下は小中学生くらいの子から、上は大学生くらいまで――の姿が多い。
たぶん、おしゃれな店やファーストフード店なんかが揃っているからだろう。
何故僕がこんなことをのたまっているかというと、無論僕がこのアーケード街の入り口に立っていることを説明するためだ。
で、さらに何故アーケード街の入り口に立っているのかというと、荻木高校から駅に行くにはここを通るのが一番楽だからなのだ。それに、そこかしこにある本屋やCD屋にも立ち寄ることもできる――もちろん、それは暇なときの話であって、今そうするわけにはいかない。
夕食の材料を帰り際に買って、それと家の掃除をしておく必要があった。僕の家から最寄りにある衛宮駅に、一葉さんがやってくる午後四時までに。
ちなみに料理のメニューはカレー。一葉さんの料理スキルが未知数(そりゃそうだ。だって見たことがないんだから)なので、誰でも美味しく作れる伝説のメニューだ。小学校の遠足で定番だったりもする。

まあ、そんなわけで、僕はアーケードの途切れるところを曲がって、食料品の安いスーパーに立ち寄ろうとしたのだけれど。
「おーい、和志ぃ!」
雑踏、そして喧噪の中でも良く通る声。その声の持ち主とは、中学校からの付き合いだ。
駆け寄ってくるそいつの背丈は…確か170後半くらいだっけ?以前より伸びた気がする。ほんと羨ましい。
家が古武術の道場だからなのかよく鍛えられている身体は、荻木高校の制服の上からでもその筋肉のごつさをかいま見ることができるほど。
…相変わらず、一目で男と判断できる容姿だ。
「久しぶり、篤馬(あつま)」
立ち止まるその友人。
春休み前半に会って以来顔を合わせていなかったそいつこと篤馬は、まず始めに僕の薄情っぷりを非難した。
「お前な、隣のクラスだって言うのに、何で声もかけず返ろうとするかね?寂しかったぞ」
その単細胞どころかそもそも細胞なのかと問わざるを得ないような神経で『寂しい』とは失笑ものだけれど、とりあえず僕に非が無いわけでもないので大雑把に謝っておく。無論釈明を入れるのは忘れない。
「ああ、ごめんごめん。今日は用事があったからさ」
すると篤馬は怪訝そうな顔つきをして
「用事?お前が?…おいおい、明日は雨か?それとも、ドッキリとか?」
それはとても失礼だぞ篤馬。僕は普段からそんなに暇をもてあましている訳では無いし、ドッキリの仕掛け人じゃない。
あくまで、紛う事なき事実だ。
「ははは、冗談だ冗談。そう怒るなよ。ところで、妹ちゃんどうしてる?元気か?」
「元気だよ。小学校はまだ春休みだから家に友達呼んだりしてる。」
「ああ、そうか。そりゃ良い。子供は元気に過ごさないとな」
篤馬はしきりに頷いて笑顔を見せた。我が家に遊びに来ることが多い篤馬は、妹とも仲が良く、しょっちゅう遊んでやっている。
両親が海外にいて家にいない今、篤馬は妹の父親代わりのようなものだ。…ま、いずれにせよ妹はまだ小学生。両親が居ない寂しさが少しでも紛れるのなら、有り難い。
「そうだ、和志、今日お前の家行ってもいいか?」
さっきの話を聞いてなかったのだろうか。今日は用事があるというのに。
今日篤馬を家に上げたら、一葉さんと鉢合わせる事態になる。勘弁。
「無理。ごめん」
「ちっ、そりゃあ残念だ。せっかく久々にお前のうまい飯が食えると思ったのによ」
舌打ちする篤馬。彼はたまに我が家で僕や妹と夕食を共にする。
ただ、最後に食べたのは春休みの前半くらいだったから、今日は久しぶりにご相伴にあずかるつもりだったのだろう。
それにしても、面と向かって堂々と『うまい』何て言われると少し面映ゆいな。
「そりゃどうも。でもさ、お袋さんちゃんと料理作ってくれるじゃないか。食ってやれよ」
篤馬家はとてもきちんとした――兄妹二人暮らしに比べれば――家庭で、食事もちゃんと毎食手作りだ。冷凍食品なんて、まあまず出ない。
「そりゃそうだが…お袋、殆どの料理焼きすぎなんだよな…。肉なんぞ硬くて食えるかっつうの」
あぁ、そういえば中学時代、篤馬は弁当のおかず誰とも交換してもらえなかったんだよなあ…。
結構黒ずんだ料理だった。あの肉を噛めば、大層顎が鍛えられることだろう。

…ん?

アーケードの向こうに目を凝らす。人影の中に、一つえらく抜き出て大きなものがあった。
それが結構なスピードでこっちへやって来ているのは、どう見たって気のせいじゃない。
あれは確実に僕らを…厳密に言えば、『篤馬を』狙っている。
「篤馬、あれ、親父さんじゃないか?」
近づいてくる巨漢を指差す。巨躯の持ち主である篤馬。いかにもその父親らしいギガンテスみたいな筋肉。
もうだいぶ近づいてきている。親父さんは偶然通りかかったんじゃない、明らかに篤馬狙いだ。
「お、親父だって!?」
慌てて振り返る篤馬。彼にとっての恐怖の大王は、もう目前。
逃げようと走り出すももう遅い。この距離からじゃ逃れられない…!!
「逃がすかバカモノ」
篤馬が三歩目を踏み込んだ瞬間、親父さんは篤馬の首根っこを後ろからがっちりと鷲掴みにした。
完全に釘付け状態だ。
一方の親父さんはと言うと、
「篤馬…貴様という奴は三日続けて稽古をさぼりおって…。今日という今日は本家懲罰部屋に叩き込んでくれるッ!!」
修羅とか般若とか鬼とか魔王とかそんな気配を漂わせながら、腹の底から響く低い声で何事かぶつぶつ呟いている。
正直言って半径5m以内に近づきたくない。
オーラ的な何かに充ち満ちている。
「ちょ、懲罰部屋ぁ!?それだけは勘弁してくれ親父ッ!!」
「やかましいッ!!さあ、来いッ!!」
『聞く耳持たず』。それが今の親父さんだ。少なくとも篤馬はそう判断しているらしい。篤馬の首を掴んでいるおじさんの手を捻って、全力で逃げ出す!

『佐渡家次期頭首』佐渡篤馬VS『2mギガンテス佐渡家頭首』篤馬パパ。

篤馬超大穴。200倍くらい。あの親父さんから逃れるのはタイソン・ゲイ並の速さが無くては不可能だ。
地の果てまでも追いかけてくるんだから。
「待たんか、篤馬ッ!!逃がさんぞ!」
走る篤馬を追う親父さん。…さて、一人になったところで、スーパーにでも行こうか。


2007/12/14 小説 学園ライフ! トラックバック:0 コメント:1


なんか・・・新しいね。

2008年02月04日 I藤 URL 編集












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